睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群は眠り出すと呼吸が止まってしまう病気です。
呼吸が止まると血液中の酸素濃度が低下するため、目が覚めて再び呼吸し始めますが、眠り出すとまた止まってしまいます。
これを一晩中繰り返すため、深い睡眠がまったくとれなくなり、日中に強い眠気が出現します。
酸素濃度が下がるため、これを補うために心臓の働きが強まり高血圧となります。
酸素濃度の低下により動脈硬化も進み、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。
さらに睡眠不足によるストレスにより、血糖値やコレステロール値が高くなり、様々な生活習慣病やメタボリック・シンドロームが引き起こされます。
睡眠時無呼吸症候群と事故の関係
日中の強い眠気のため運転中に居眠りをして事故を起こしやすいともいわれています。
1時間あたり10秒以上の呼吸停止が20回以上出現するような中等症・重症の睡眠時無呼吸症候群を放置すると、心筋梗塞・脳梗塞・生活習慣病・眠気による事故などを引き起こし、死亡率が非常に高くなるため、すぐに治療が必要です。
ひどいイビキ、睡眠中の呼吸停止がある場合には速やかに検査・治療を受けることが大切です。
当院では簡易アプノモニターという検査装置を貸し出し、ご自宅で3日間睡眠状態を測定していただきます。
疫学
成人男性の約3~7%、女性の約2~5%にみられます。男性では40歳~50歳代が半数以上を占める一方で、女性では閉経後に増加します。
発症のメカニズム
空気の通り道である上気道が狭くなることが原因です。
首まわりの脂肪の沈着が多いと上気道は狭くなりやすく、肥満はSASと深く関係しています。扁桃肥大、舌が大きいことや、鼻炎・鼻中隔弯曲といった鼻の病気も原因となります。あごが後退していたり、あごが小さいこともSASの原因となり、肥満でなくてもSASになります。
症状
- いびき
- 夜間の頻尿
- 起床時の頭痛
- 日中の眠気
- 日中の眠気は、作業効率の低下、居眠り運転事故や労働災害の原因にもなります。
生活上の注意
肥満者では減量することで無呼吸の程度が軽減することが多く、食生活や運動などの生活習慣の改善を心がけることが重要です。
アルコールは睡眠の質を悪化させるので、晩酌は控える必要があります。
睡眠時無呼吸症候群の検査
睡眠時無呼吸症候群には2種類の検査方法があります。
そのうち当院では簡易検査(あぷのモニター)を行っています。
- 簡易検査(アプノモニター)
- 脳波を含めた精密検査(ポリソムノグラフィー:PSG)
簡易検査(アプノモニター)
当院では簡易検査装置を貸し出して自宅で3日間測定していただきます。
データ解析で睡眠1時間あたりの無呼吸および低呼吸の合計回数が40回以上の場合はCPAP療法導入となります。
簡易検査で中等症の場合、近隣施設へPSG検査目的に紹介させていただく場合があります。
睡眠時無呼吸症候群の治療方法
CPAP(経鼻的気道持続陽圧)療法とは
日中の眠気などを認めるSASでは、経鼻的持続陽圧呼吸療法(Continuous posi-tive airway pressure:CPAP)が標準的治療とされています。
CPAPはマスクを介して持続的に空気を送ることで、狭くなっている気道を広げる治療法です。
また、下あごを前方に移動させる口腔内装置(マウスピース)を使用して治療することもあります。
小児のSASではアデノイド・口蓋扁桃肥大が原因であることが多く、その際はアデノイド・口蓋扁桃摘出術が有効です。
予後
成人SASでは高血圧、脳卒中、心筋梗塞などを引き起こす危険性が約3~4倍高くなり、特に、AHI30以上の重症例では心血管系疾患発症の危険性が約5倍にもなります。
しかし、CPAP治療にて、健常人と同等まで死亡率を低下させることが明らかになっています。
(日本呼吸器学会HPより引用)